ローリング・ストーンズを聴き込んでいると、ある時期だけ独特な音の塊に出会います。
それが、1965〜66年に行われた RCAハリウッド録音 の時代。
シングル「The Last Time」「Satisfaction」「Get Off of My Cloud」「19th Nervous Breakdown」「Paint It, Black」…まさに黄金期のヒット曲がここから生まれました。
RCA録音が生んだ“音の塊”
シングル・コレクション(The London Years)を年代順に聴いていくと、「The Last Time」あたりからサウンドの質感が変わります。
RCAハリウッドでの録音は、シンプルに「バンドをまとめて一発で収める」方式。そのため、各楽器の輪郭はクリアに立つのではなく、スタジオの空気の中で互いに溶け合うように響きます。
結果として生まれるのは、乾いた音ではなく、わずかにくすんでいながらも力強い「音の塊」です。
(これを助長したのにRCAのエコー・チェンバーによりところも大きい)
これは弱点ではなく、ストーンズの音楽に漂う倦怠感やブルース的な影を際立たせる武器となりました。
スタックスとの共通点、ソウルへの傾倒
この「音の塊」というサウンドは、メンフィスのスタックス・スタジオの音を彷彿とさせます。
もともと映画館を改装したスタックスでは、低い天井と独特の響きが、楽器の分離よりも巨大な「グルーヴの塊」として音を響かせていました。
オーティス・レディングやブッカーT&MG’sが追求した突き抜ける明快さではなく、肉感的なソウルは、このスタジオが生んだ唯一無二のものです。
ストーンズもまた、RCA録音を味方につけ、ブルースだけでなく深いソウルへの愛情を音楽で表現しました。
特に有名なのが「Satisfaction」です。
この曲の象徴的なギターリフは、実はキース・リチャーズがホーン・セクションで演奏することを想定して作ったものでした。
彼の頭の中では最初から分厚いホーン・サウンドが鳴り響いていたのです。
その証拠に、リリース後すぐにオーティス・レディングがこの曲をカバーし、見事なソウル・アレンジで仕上げています。
また、「一人ぼっちの世界(Get Off of My Cloud)」では、ミック・ジャガーのリード・ボーカルと、キース・リチャーズとビル・ワイマンによる掛け合いがサム&デイヴのようなスタックス的なソウル・デュオを連想させます。
ジャック・ニッチェの影響
この時期のサウンドを語る上で外せないのが、アレンジャー/鍵盤奏者のジャック・ニッチェ。
彼はフィル・スペクターの右腕として知られながらも、ストーンズが元々持っていたブルースやソウルの感性を理解し、それをより引き出す形で貢献しました。
彼の最大の功績は、サウンドに深みと陰影を加えたことです。例えば、「一人ぼっちの世界」ではハープシコードを、「黒くぬれ!(Paint It, Black)」ではオルガンを加え、それまでストーンズになかったサイケデリックでミステリアスな音の世界を作り出しました。ニッチェは、ストーンズが持つロックに必要な荒さを残しつつ、音楽の立体感を増すという絶妙なバランス感覚を発揮しました。
RCA録音とストーンズの進化
RCA録音期は、ストーンズがブルース・バンドから世界的ロック・アイコンへと飛躍した重要な時代です。その要因は、
「RCA特有の音の塊」
「スタックスに共通するソウルへの傾倒」
「ジャック・ニッチェの才能あるアレンジ」
が複合的に作用したことにあると言えるでしょう。
ストーンズRCA録音のまとめ
ローリング・ストーンズのRCA録音期は、ただの過渡期ではありません。
スタックスやスペクターとも比較できるほど個性的なサウンドを作り上げ、バンドの進化を決定づけた重要な時代です。
シングル・コレクションを通して聴けば、その「音の塊」が持つ魔力を改めて体感できるはずです。
ストーンズの魅力を深く掘り下げる上で、避けて通れない録音期と言えるでしょう。
もっとこの時代の音を聞きたいなら、アルバム「アウト・オブ・アワ・ヘッズ」「アフターマス」の二枚は外せません。
これが「レット・イット・ブリード」や「スティッキー・フィンガーズ」へと繋がっていきます。
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