福岡市東区や中央区からジャズのレコード買取──ビートルズを落としたデッカ、ハリウッド的なMGM、古い音源で思い浮かんだ音楽の分岐点

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ジャズの買取で思い出したデッカとビートルズ

最近、福岡市東区や福岡市中央区のお客様からジャズのレコードの持ち込み買取が続いており、店内のジャズ・コーナーもなかなかの充実ぶりになってきました。棚がパンパンです。
今なら、トミー・フラナガンやハンプトン・ホーズといったジャズ・ピアノの名盤が驚くほど手頃な価格で手に入ります。レコード好きの方には、ぜひこの機会にご来店いただきたいところです。

そんなふうにジャズのレコードを買取しながらふと感じたのが、「そういえばデッカって、ジャズの名盤が少ないよな」ということ。
……それもそのはず、デッカの本社はイギリス。アメリカのようなモダン・ジャズの流れとは距離があって当然なのです。
今さらですが、改めてその「当たり前」に納得してしまいました。

そして明日、2025年11月2日(日)は、福岡市早良区のワールド・ミュージック・カフェ「HiLo」さんで**「ビートルズ講座」**を開催します(14:00〜)。
ビートルズのレコードやCDを聴きながら話を進める中で、出てくるかもしれない話題が「ビートルズ、デッカにオーディションで落とされた話」です。

その流れで、最近自分がちょっとずつ調べていたのが、アメリカの大手レコード会社の録音スタジオ文化について。
コロムビア、キャピトル、RCAなどに加え、ふと思い出したのが映画会社MGMのレコード部門。
それらとデッカやビートルズの話が頭の中でつながってきて、音源・本・そして生成AIの力も借りつつ、ぼんやりとですが考えをまとめてみました。

以下、その内容をまとめた小さな“録音文化エッセイ”をお楽しみください。

ビートルズを断ったデッカの判断

1962年1月1日、ロンドンのDeccaスタジオでビートルズは15曲以上を演奏するオーディションを受けた。
だが、デッカのA&R担当ディック・ロウは彼らに契約を提示しなかった。その理由が「ギター・グループの時代は終わった」──
この判断が後に「史上最大のスカウトミス」として語られることになる。

この事件が象徴するのは、レーベルの感性と時代認識のズレだ。
デッカはクラシック、ポピュラーの重厚な録音文化に強みを持っていた反面、ロックンロールや若者文化には鈍感だった。
実際、ビートルズの音楽的本質(作曲力、ハーモニー、イメージ戦略)は、当時のデッカには届かなかった。

その後ビートルズはEMI傘下のParlophoneと契約、ジョージ・マーティンのもとで世界的バンドへと飛躍する。
一方デッカは、名誉挽回とばかりにローリング・ストーンズと契約するも、ロックを完全に理解したとは言いがたい立ち位置のままだった。

MGMレコードのハリウッド映画の音楽的手法

一方、アメリカのMGMレコードは、映画会社MGMの音楽部門としてスタート。
ジュディ・ガーランドやデビー・レイノルズなど、ミュージカルスターの録音において「映画的な録音手法」を導入した。
それはつまり、オーケストラ+歌手の一発録音、広大なスタジオ、複数マイクによる立体的音像、演出性を含む音作りである。

この手法はキャピトル・レコードにも影響を与え、映画と音楽の境界を曖昧にする録音文化を生んだ。
フィル・スペクターやビーチ・ボーイズなど、カリフォルニア・サウンドのクリエイターたちが「映画のような音楽」をスタジオで作り出した背景にも、こうした伝統がある。

録音文化の違いによる音楽の価値観

• デッカ:ヨーロッパ的な「クラシック録音文化」をベースとし、音場の自然さ、ホール的な響き、精密な録音技術に重きを置いた。録音芸術としての完成度が高く、演奏者の存在感を忠実に捉える方向性。
• MGM/キャピトル:アメリカ西海岸的な「映画・ショービズ文化」に根ざし、エンタメ性・感情の演出・スタジオワークの創造性を重視。多重録音やセッション感より「音像のドラマ」を重んじる。

ビートルズがEMI=イギリス的録音の王道で成功した一方、アメリカではフィル・スペクターが“ウォール・オブ・サウンド”を築き上げ、ポップスに映画的スケールを持ち込んだ。
同じ時代、同じポップスであっても、録音に込める思想や目的は、国や文化背景によってまったく異なっていた。

そしてここに、ひとつの転換点が訪れる。
それは──ビートルズという“個の創造性”が、音楽制作の重心をレーベルからアーティスト自身へと移したということだ。

国の違い、録音文化の違い、そしてレーベルの美学に基づいて音楽が作られていた時代。
その中でビートルズは、個人の内発的なアイディアが音楽そのものを生み出すという新しいモデルを提示した。
それはまさに「アーティスト主体の音楽制作」の始まりであり、今日に続く**“現代のロック感”の原点**となったのだ。

ロックを“理解する”とはどういうことか?

ストーンズがデッカと契約していたが「ピンとこない」印象を持つのは自然だ。
デッカは流通・契約先として関わっていたものの、彼らの音楽的創造性を本質的に支えていたわけではない。
つまり、レーベルがロックを“作った”か、“扱った”かの違いだ。

ビートルズを見逃し、録音文化としては一流だったがロックをつかみ損ねたデッカ。
映画的感覚で音を操り、ポップスを作り込むことに長けたMGMやキャピトル。
60年代初頭のメインストリームを考えていくと、音楽を「個の演奏」として聴くか、「一つの作品」として聴くかの分岐点でもある。

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