福岡での買取で出会うレコードから戦後ポップス史を考える──エルヴィスから90年代、ドレイクまで

IMG_9215福岡のでレコードの出張買取や店舗で販売をしていると、日々いろんな音楽の歴史に触れる機会があります。
やはり、その中でも殆どが1950年代以降のロックンロール誕生後、戦後ポップス中心の話となります。
私自身は戦前音楽やワールド・ミュージック等のルーツ・ミュージックも好きなのですが、
色々買取したレコードを調べるにあたってメモしてたら、
何気に戦後ポップス史のブログになってしまいました。

ボブ・ディランが
「ロックンロールはフィル・スペクターで終わった」
と語ったとされる言葉があるようです(多分)。
以前のブログではスペクターの偉大さを掘り下げましたが、
今回はそこから先、音楽がどこへ向かい、
僕自身がどう聴いてきたかを整理してみたいと思います。

ロックンロールの起点:エルヴィス

まず忘れてはいけないのがエルヴィス・プレスリー。
彼は単なるシンガーではなく、バンドを瞬間的に導く
“ヘッドアレンジの天才”だったと思います。
サム・フィリップスがその才能を見抜き、
サン・スタジオで一発録りのように瞬間芸術を記録したことで
ロックンロールは誕生しました。
この「一発勝負で空気を切り取る感覚」が
後のスペクターやビートルズ、ストーンズにも受け継がれていったと思います。

スペクターのあとに来たもの

スペクターは音を重ねて“作曲”した最初の人。
オーケストラ並みのサウンドで青春の感情を包み込み、
ポップスを芸術に押し上げました。
ディランの言葉通り、一度ロックンロールが完成してしまったとも言えます。

そのあとに登場したビートルズやストーンズは、
スタジオをさらに実験の場に変え、
バンド自身が作曲から録音までをコントロールする時代を開きました。
特にストーンズは、ブルースやR&Bを原点にしながら、
今もなお成長し続けるロックバンドの第一人者。
泥臭さを残したまま時代に合わせて進化する姿は、
ロックバンドの理想のあり方だと思います。

そして同じ時代、レッド・ツェッペリンやエリック・クラプトンのように、
ブルースを出発点にしながら我が道を行くミュージシャンたちもいました。
ツェッペリンはブルースを巨大化させ、ハードロックという新しいジャンルを作り出した。
クラプトンはブルースの本質を守りながら、デレク&ザ・ドミノスやソロで
より個人的でスタイリッシュな表現へ進んでいった。
どちらもビートルズやストーンズと並ぶ大きな流れですが、
より土臭いブルースへの愛情と敬意が根っこにあります。

ボウイ、ピンク・フロイド、クイーン

ボウイは初期フォークから始めながらも、
「Space Oddity」や「Life on Mars?」などで
未来的で演劇的な世界観を提示しました。
声の好みは分かれるかもしれませんが、
ポップスとして眺めると唯一無二の存在です。

ピンク・フロイドも同じく、音響やコンセプトを重視しながら
「Another Brick in the Wall」などポップヒットを残した稀有なバンド。
ジャケットや作品全体で一つの世界を作る力は、今聴いてもよくできていると感じます。

クイーンも同様に、ロックオペラ的な構築美があり、
聴くたびに「よくできてるな」と感心させられるポップスの完成形。
どちらも音楽の体験として面白いし、レコードで聴くと一層その作り込みが際立ちます。

黒人音楽の閃きとザ・バンド

戦後も黒人音楽はレイ・チャールズ、オーティス・レディング、
ジェームス・ブラウン、スライ&ザ・ファミリー・ストーン……
黒人音楽の天才たちは、閃きと感覚で時代を切り開きました。

一方、ザ・バンドは白人ルーツ音楽の側から同じ自由さに辿り着いた存在です。
デビュー作『Music from Big Pink』では、カントリーやブルース、フォークを
独自に再構築してロックに持ち込み、ロック史に新しい扉を開きました。
そして『Cahoots』では、アラン・トゥーサンのニューオーリンズ・ホーンを迎え、
オープニングの「Life Is a Carnival」からアルバム全体にお祭り感とファンクの跳ねを吹き込みました。
ゴスペルやアメリカン・ルーツの要素が濃く、
メンバー全員が一体となり、時にフリーフォーム的に音を展開する共同体的な作り方が光る作品です。
ロックバンドでここまで有機的に音楽を作り上げたのは、
やはりザ・バンドが唯一無二だったと思います。

スティングとU2:知的さとポップスの両立

スティング(ポリス)やU2は、
ポストロック的な空間美や理論をポップスに翻訳して大衆に届けた人たち。
「Walking on the Moon」や「The Joshua Tree」は、
知的さとメロディのキャッチーさを兼ね備えた傑作です。
アートで終わらせずポップソングに仕立てる力は、
ボウイやフロイド、クイーンの実験と並んでロック史の重要な成果だと思います。

ポストパンク・ニューウェーブの衝撃と限界

XTC、PIL、ポップ・グループ、ジョイ・ディヴィジョン、マガジンなどは衝撃的でしたが、
ポップスとしてはギリギリ届かない印象もあります。
やはりカリスマ性とメロディの翻訳力がないと大衆には届かない。
その意味で、U2やスティングは思想とメロディを両立させ、
ポストパンク的感覚をポップスに落とし込んだ稀有な例といえます。

90年代:ScreamとTLC

90年代はジャム&ルイスがプロデュースしたマイケル&ジャネットの「Scream」が衝撃でした。
白黒の未来都市を舞台にしたPVも含め、サウンドも映像も最先端で、
当時のポップスを一気にアップデートした象徴的な一曲です。
そしてラフェイス・レコードからはTLCが登場し、
ヒップホップとR&Bを融合させたスタイルで世界的な人気を獲得しました。
この流れが後のメアリー・J・ブライジやデスティニーズ・チャイルド、
ビヨンセに続いていきます。

同じ90年代、ロックやポップスも多様化し、
オアシス、ベック、ジャミロクワイ、レディオヘッドといったアーティストが
それぞれの個性でスターとなり、時代を象徴しました。
ロック、ブリットポップ、ファンク、オルタナティヴが共存した
とても豊かな音楽の時代だったと思います。

21世紀ティンバランドとミッシー・エリオットの革新

ティンバランドの革新は、ミッシー・エリオットとの作品で最も鮮やかでした。
「Get Ur Freak On」や「Work It」は、2000年代ポップスのサウンドを塗り替えた名曲。
その流れの中で、ファレル・ウィリアムスとチャド・ヒューゴのコンビ=ネプチューンズが登場し、
ブリトニー、ジャスティン、クリスティーナ・アギレラのポップヒットを次々に送り出しました。
さらにカニエ・ウェストがソウルの感覚をヒップホップに再注入し、
2000年代は「音の隙間」「抜けの良いビート」がポップスの標準になっていった時代だったと思います。
そしてその路線を引き継ぐ形で、ヤングマネーからリル・ウェイン、
そしてドレイクが登場。ラップとメロディを融合させた新しいスタイルを作り上げ、
現在のヒップホップ/ポップスの基準を決定づけました。
僕自身はここまでがひとつの時代だと感じています。

結論 歴史を知ることでレコードを適正に評価できる

ロックンロールはエルヴィスから始まり、
スペクターで完成し、
ビートルズやストーンズがスタジオを拡張し、
ストーンズは今も成長を続ける第一人者としてブルースを更新し、
ツェッペリンやクラプトンがブルースを拡大し、
ボウイやフロイド、クイーンが未来を提示し、
U2やスティングがポップスに落とし込み、
90年代は「Scream」とTLCが時代をアップデートし、
2000年代はティンバランドとミッシーが音を革新し、
ブリトニー、ジャスティン、アギレラがポップを牽引、
ドレイクでひとつの到達点を迎えた。

どの時代も、結局は「音をどう作るか」という挑戦の歴史。
だからレコードで聴き直すと、
プロデューサーやアーティストの意図、
録音当時の空気まで立ち上がってくるのが面白いんです。
その「音の流れの移り変わり」を深く理解しているからこそ、
私はここ福岡で、あなたのレコードを適正に評価できます。

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