福岡市西区・中央区ジャズレコード買取
福岡市西区や東区からジャズのレコードの持ち込み買取がありました。
販売の方もジャズのレコードやCDのお客さんが多く、色々なジャズ好きなお客さんとお話しできて楽しかったです。
その中で出てきた話が、来年マイルス・デイヴィスとジョン・コルトレーンが生誕100年だそうで、そう言えば数年前コルトレーンにハマってSNSに呟いた事を書いたのを思い出しました。今回はその時の話を改めてまとめてみました。
爆音体験の衝撃
ジョン・コルトレーンの「マイ・フェイヴァリット・シングス」を爆音で浴びたときの衝撃は、いまも忘れられない。
エルヴィン・ジョーンズのドラムによるポリリズム(複雑なリズムの重なり)、マッコイ・タイナーの力強いピアノ、スティーヴ・デイヴィスの低音――まるで重戦車が突進してくるようなリズム隊。その上でコルトレーンが縦横無尽に吹き抜ける。音の奔流に押し流されながら、身体が熱に浮かされていく感覚があった。
未来を予感させたモード
この曲は「モード・ジャズ(特定の音階を軸に展開するスタイル)」の代表作とされる。音楽評論家・菊地成孔氏の著作でも、“シーツ・オブ・サウンド(音符を畳みかけるように吹く奏法)”ではなく、あくまでモードの枠組みによる演奏と説明されている。だが、言葉がどうであれ、自分の耳に届いたのは未来の響きだった。緊張感あふれるグルーヴと黒々とした推進力。それは後にジミ・ヘンドリックスやブラック・ロックの爆発に直結するものだった。
トランス状態のインプレッションズ
1961年、ニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードで演奏された「インプレッションズ」では、この熱量がさらに燃え上がる。コルトレーンが渾身に吹き込み、エルヴィンが力強く叩き続ける。演奏は完全にトランス状態へと突入し、聴衆を別世界に連れ去った。これは後にスピリチュアル・ジャズと呼ばれる流れの始まりであり、今も続くアシッド・ミュージックの起点でもある。しかも、それはジミヘンやスライ・ストーンが登場するよりも10年も早かった。
宇宙船を呼び寄せた音
やがてジミヘンからスライ、そしてPファンクへと黒人音楽の流れは続いていく。菊地氏は「コルトレーンは宇宙船に乗れなかった」と記している。だが実際は、彼こそが“宇宙船を呼び寄せる音”をすでに鳴らしていたのではないだろうか。
未来を照らすコルトレーン
コルトレーンの音には、人をどこまでも遠くへ連れ出す力がある。
「マイ・フェイヴァリット・シングス」で浴びた爆音の熱量――それはジャズを超え、ファンクやロック、そしてスピリチュアル・ジャズの扉を開いた。
生誕100年を迎えた今、その音は過去の記録ではなく、未来を照らす光だ。彼が吹き込んだサックスの一息一息は、音楽が“人を解放する力”であることを証明している。
ジョン・コルトレーンは、いまもなお私たちを未知の宇宙へ誘い続けている。
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コルトレーンをブライアン・ウィルソンや山下達郎と結びつけ、サブカルチャー的視点から語った記事もあります。
➡ サブカルチャーとしてのコルトレーン