11月まで福岡市西区の当店へレコードやCDのの持ち込み買取や福岡県内の出張買取がずっと続いていたのですが、
12月になって、急に寒くなったのか、買取が減っております。
ぜひ、皆様のレコード・CDコレクションをしっかり、丁寧に査定致しますので、
レコード、CD、福岡の皆様、お売りください。
私は相変わらず、好きな音楽に没頭しています。
最近は生成AIのおかげで、自分の思っていたことが、より深く表現できるようになったので、
レコードやCDを聴く楽しみが更に加速しています。
今回はブルースです。
もう中古レコード店の買取日記というより音楽評論になってしまってます。
今回はまるでポエムのようになってしまいました。
お暇な時に、ちょっとブルースに興味ある方は読んでみて下さい。
ブルースほど「おかしい」音楽はない
ブルースほど、
理屈で説明すると壊れる音楽はないと思う。
最小限の弾き語り。
ギターと声だけ。
テンポは遅く、構造も単純。
なのに、聴いていると時間が歪む。
リズムは合っていないようで合っている。
歌とギターは噛み合っていないのに、表現としては完全に成立している。
むしろ、噛み合っていないからこそ、合点がいく。
これは「下手」ではない。
「自由」でもない。
おかしいのだ。
サン・ハウスについて
Preachin’ the Blues の異常さ
サン・ハウスの Preachin’ the Blues は、その極点にある。
再発見後、1960年代中頃のライヴ。
歴史的には、
チャーリー・パットンとロバート・ジョンソンをつなぐ存在、
という説明がよくなされる。
でも、そんな配置をすべて横に置いて聴くと、
まず思うのはこれだ。
「こんな曲が存在していること自体がおかしい」
曲というより説教。
歌というより唸り。
ギターは伴奏ではなく、時間を地面に打ち込む杭のようだ。
テンポは遅い。
なのにグルーヴがある。
BPMでは説明できない推進力が、ずっと前に引っ張る。
進行しないのに、終われない。
整理されないのに、散らからない。
これは音楽というより、
時間の扱い方そのものが異常なのだと思う。
1964〜65年という「おかしさ」
特にニューヨークでのライヴは、今聴いても異物だ。
1964年、65年。
フォーク・リバイバルの時代。
音楽は「わかりやすく」「共有できる」方向へ整理されていた。
そんな時代に、
この遅さ、この重さ、この説教。
懐古ではない。
再現でもない。
現在形で判断している音が、そこにある。
1965年の大学ライヴは、少しお行儀がいい。
聴衆を意識し、場を尊重している。
それでも十分に異常だが、
ニューヨークのライヴには、もう一段階の危うさがある。
踏み越えている。
戻る気がない。
中村とうようが言葉にしたこと
中村とうようは、
この Preachin’ the Blues を
「ブルース愛好者が最高の一曲として受け取るに値する」
と著書「ブルースの世界」で書いた。
歴史的な意義とは別に、だ。
それを読んだとき、
「そうだろうな」としか思わなかった。
なぜなら、
この曲は理解すると好きになる曲ではない。
先に身体が反応してしまう曲だからだ。
サッチモの Tight Like This に、
どうしようもなく感動してしまうのと同じ現象。
この曲も中村とうようは、著書「大衆音楽の真実」で詳しく取り上げた。
一曲だけ、空気が変わる。
理屈の入り口が消える。
ブルースは瞬間芸だ
ブルースは、
アドリブが許されている音楽ではない。
アドリブしか存在しない音楽だ。
その瞬間、
カッコよければ成立する。
フィーリングが合えば正解になる。
フリースタイルラップと同じだと思う。
だから、うますぎる人より、
崩れる寸前の人のほうが面白い。
破断していない演奏は、
どこか退屈になる。
おかしいままでいい
ブルースを「理解」しようとすると、
だいたい失敗する。
でも、
「おかしいな」と思った違和感を、
そのまま持ち続けると、
ある日、勝手につながる。
ブルースは体系ではない。
パラレルワールドだ。
だからこそ、
独学の人間にだけ、
深く刺さる。
追記(レコード店主として)
店でこの手の盤をかけると、
必ず誰かが立ち止まる。
「これ誰ですか?」
そう聞いてくる人のレコードは、
だいたい良い。
ブルースは、
説明しなくても反応が出る音楽だ。
それが、
いちばん信用できるところだと思っている。
追伸 伝説のデルタ・ブルース・セッション1930
サン・ハウスが参加した伝説のアルバムを聴いて私がSNSに呟いたことを記載しておく。
1928年ルイーズ・ジョンソンこれジャズ的。
声量に頼らないボーカル・コントロールとピアノの即興性。
ベッシー・スミスやビリー・ホリデイ以前にミシシッピでも都会的に聞こえる。
チャーリー・パットンやサン・ハウスの即興的ブルースと同じ空気の中で、
その即興性を内面化した結果ジャズのように聞こえるのでは?
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