福岡で レコード買取 をしている当店アッサンブラージュですが、
たまに買取したレコードやCDを
つい “自分のコレクションに吸い込んでしまう” ことがあります(笑)
(いや、こっそりじゃなくブログで堂々と書いてるけど)
特に エルヴィス・プレスリー。
福岡のレコード買取店の中でもエルヴィスの買取には力を入れているので、
珍しい盤が入った日はニヤニヤが止まらない。
が、今回の主役である
Elvis Presley – LIVE 1969(CD BOX)
これは、まだ当店には一度も入ってきていない。
入ってきた瞬間、間違いなく僕の私物行きなんですが(笑)
じゃあなぜブログで書くのかというと、
先日 YouTube で軽く聴いたら “完全にやられた” からです。
※ちなみに手持ちの私物では、
写真の「ライヴ・イン・ラスベガス」のBOXのディスク1と、
「エルヴィス・オン・ステージVol.3(エルヴィス・イン・パースン)
のレコードとCDで聞けるが、
11枚組が欲しい理由は下記の文章読めば分かります。
1969エルヴィスはロックじゃない黒い即興音楽
エルヴィス1969年ラスベガス。
世間では「復活ショウ」のイメージが強いけれど、
実際のサウンドはまったく別物。
これは
• ロックでもない
• 歌謡でもない
• ポップスでもない
黒いブルースとジャズが融合した “即興音楽” そのもの。
その正体を作っているのは、初期TCBバンド4人の異常な演奏。
1. ロニー・タットのドラムが異常すぎる
Suspicious Minds のタム連打で確信した。
これはもう普通のロックドラマーではない。
完全に “黒い身体で叩くドラマー” の動き。
• 拍に乗らない
• 走るのに崩れない
• タムが“波”のように転がる
• 歌に合わせて時間そのものを曲げる
ロックでは物理的に不可能なフィール。
1969年のロニー・タットは、黒いジャズドラマーと同じ次元にいる。
2. ジェリー・シェフのベースが黒すぎる
ミーターズやブッカーTの“ものまね”ならできても、
本物の黒いグルーヴを出せる白人ベーシストはまずいない。
でもシェフは違った。
• 沈む
• 浮く
• うねる
• 押す
• ためる
黒人音楽の核心である “横揺れ” が完全に身体化している。
これはもう白人・黒人という枠を超えた、
純粋な “音楽の黒さ”。
3. ジェームズ・バートンのギターがジャズ
「チキンピッキングの名手」では片づけられない。
1969のバートンは、
• ピアノやオルガンとの掛け合い
• ブルーノート連発
• 歌と同時に物語を作るような即興
完全に ジャズギタリストの会話法。
エルヴィスが一歩動けばバートンが返す。
音と音で会話が成立している。
4. ラリー・ムーホバラックのピアノ
チャールズ・ブラウン級の黒さ
YouTubeで聴いて一番驚いたのがこのピアノ。
• 泣き方
• 間の取り方
• ブルーノートの差し込み方
これが白人ピアニストのそれではない。
完全に
チャールズ・ブラウン/レイ・チャールズ系の“黒いブルース”の感触。
ラリーはもっと評価されるべきだと思う。
『オン・ステージ』『アロハ』との決定的な違い
◆ 1970『オン・ステージ』
ホーンやストリングスが入り、ショウとしての完成度が一気に上がる。
ただし1969の“危なっかしい揺れ”は薄まる。
◆ 1973『アロハ・フロム・ハワイ』
壮麗で巨大。
演奏は“帝王の儀式”の一部として機能。
では、1969は何が違う?
答えはひとつ。
“裸のバンド音楽”だったから。
ホーンはメンフィス・ホーンズのように渋く、
コーラスも控えめ。
テンポもノリもその場で変わる。
エルヴィスとバンドが本気で呼吸している。
車で「イン・パースン」を聴いて
「なんか違う」と思った理由はこれ。
1969エルヴィスは“キング”ではなく“ボス”
1969音源を聴くとよく分かる。
• ロニーが押す
• シェフが沈む
• バートンがねじ込む
• そこにエルヴィスが乗る
全員がその瞬間瞬間で音を変え、
ロックンロール、ブルース、南部ソウルが混ざり合う。
これはもう
“集団即興”の領域。
ジャズのリーダーのように、
ソウル・バンドのメイン・ボーカルのように、
バンドの「ボス」である。
エルヴィスがバンドの真ん中で
呼吸・テンポ・グルーヴをコントロールしている。
他のどの年にも存在しない、1969だけの音。
結論:1969エルヴィスは別格だった
軽く歌っているのに黒い。
跳ねているのに沈む。
走っているのにまとまる。
この矛盾の融合こそが1969の本質。
正直、今さら気づいたのが悔しい。
でも、それほどまでに1969は深い。
“LIVE 1969” が買取で来たら、僕の私物行きです(笑)
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