R&Bの箱から「エルヴィス」へ
以前、福岡市中央区から当店に持ち込みで買取していたR&B/ソウルのレコードやCDが段ボール一箱出てきました。
そこでコースターズの前身ロビンズの「A Fool Such as I」を聴いていたら、バズ・ラーマンの映画「エルヴィス」を思い出しました。
ロビンズ、カントリーをR&Bで歌う
エルヴィスが「Baby, Let’s Play House」を歌った会場に、ハンク・スノウが出てくる場面があります。観客は座って、手拍子を打ちながらスノウの歌を楽しんでいる。この場面が美しいのです。ラーマンは、ロックン・ロールを描くためにカントリーを貶めたりしていません。
「A Fool Such as I」はもともとスノウが歌ったカントリーで、ロビンズはそれをR&Bとして歌いました。のちにエルヴィスも録音しています。同じ曲が、歌い手が変わるたびに別の顔を見せる。エルヴィスを中心に見ると、いろんな音楽ジャンルが交差してくる。まさにロック誕生の交差点です。
スノウの歌には、カントリーなのにR&Bにも通じる節回しがある。私にはそう聞こえます。映画のパーカー大佐は、そのスノウと組んでいました。だからこそ、エルヴィスの声に反応できたのかもしれません。
ロックは何も捨てずに生まれた
エルヴィスは、何かを否定してロックを作ったわけではないのでしょう。自分の中にもともとあった音楽を、ごく自然に結びつけただけなのかもしれません。
古いものを古いと切り捨てず、その魅力を認めたうえで新しさを描く。ロビンズの歌を聴いて、あの映画の場面がもう一度つながりました。
黒人R&Bとカントリーが出会い、レコードを作る人たちの手を渡るうちに、ひとつの大きな音楽になっていきました。
パーカー大佐の手腕
デッカでビル・ヘイリーを世に出したミルト・ゲイブラーは、ヘイリーを大スターにはできませんでした。サン・レコードのサム・フィリップスは、エルヴィスの個性を見抜きながら、その未来をパーカー大佐とRCAに託しました。そしてスティーヴ・ショールズが、RCAで彼を大きな市場へ送り出した。
ロックン・ロールを世界の音楽にしたのは、パーカー大佐の手腕だったのかもしれません。バズ・ラーマンがパーカー大佐をほぼ主役にしたのは、そういうことだと思います。
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