福岡のレコード買取店長が語る、私の好きなドゥーワップ/コーラス・グループ&デュオ

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お盆休みの福岡のレコード・CD買取

お盆休みに入って家の片付け代わりに、福岡県内のいろいろな地域—〜福岡市や糸島市、また帰省されたお客様からの買取など、多くのレコード買取がありました。レコードやCDの買い取りのお客様も含め、なんとか次々にあまりお待たせせずに対応できました。ミスタードーナツで大学時代4年間働いた成果です(笑)

若き日のドゥーワップやコーラス・グループの評価

若い頃、ドゥーワップやコーラス・グループのレコードは、かなり雰囲気で買っていた。
ジャケットが格好いい。50年代の黒人コーラスというだけで惹かれる。実際に聴いてみて、甘いバラードや気持ちのいいコーラスがあれば、それで満足していた。
今思えば、音楽の細かいところなど、ほとんど聴けていなかったのだと思う。
ところが長年いろいろな音楽を聴いてきて、昔買ったレコードを聴き直すと、以前とはまったく違うところが耳に入ってくる。
その代表が、ファイヴ・キーズだ。

ファイヴ・キーズ

ファイヴ・キーズといえば、一般にはドゥーワップやボーカル・グループとして語られることが多い。
でも、特にアラディン期を聴いていると、どうも普通のドゥーワップとは違う。
リード・ボーカルが歌い上げるはずのところで、突然セカンド・ボーカルにメロディーを渡す。バック・コーラスも単純にリードを支えるだけではなく、それぞれが別の動きをしているように聴こえる。
コードの知識はないので、具体的に何という和音なのかは分からない。それでも「これは普通のコーラスではない」ということだけは耳で分かる。
しかも、そこに入る楽器の使い方も面白い。
ハーモニーはかなり洒落ていて、少しジャズ・ボーカルのようにも聴こえる。フォー・フレッシュメンを聴いているような瞬間さえある。
それなのに、歌の根っこにはしっかりブルースがある。
この「都会的なのにブルージー」という感じが、ファイヴ・キーズの魅力だと思う。
同じ時代のクローヴァーズなら、もっと黒い。ドミノスならもっと肉体的で、エロティックなR&Bになる。ファイヴ・ロイヤルズなら、さらにブルースそのものだ。
一方、ファイヴ・サテンズは「In the Still of the Night」のような甘く美しいドゥーワップの世界に強く結びついている。
もちろん、それぞれ素晴らしい。
ただ、ファイヴ・キーズはそのどれにも完全には当てはまらない。
「ドゥーワップ」という言葉だけで括ってしまうと、ファイヴ・キーズの面白さをかなり取りこぼしてしまうように思う。

ちなみにファイヴ・キーズがキャピトルに移籍するが、キャピトルにはフォー・フレッシュメンがいて、その後ビーチ・ボーイズも在籍する。

プラターズ

そして、もう一組外せないのがプラターズだ。
プラターズの魅力は、トニー・ウィリアムズの美しいボーカルと、洗練されたコーラスにある。
Mercury期の「Only You」や「The Great Pretender」のような完成されたポップ・バラードが、日本で「オールディーズ」の代表として親しまれてきたのも納得できる。
ただ、初期のFederal期を聴くと印象が変わる。
R&Bやドゥーワップの黒さがまだ残っていて、トニーの声もより生々しく聴こえる。バックのギターも魅力的だ。
つまりプラターズは、
Federal期の黒いR&Bと、Mercury期の洗練されたポップス。
その両方を持っている。
そこが面白い。
そして、コースターズ、ドリフターズ、クローヴァーズ、ドミノス、ファイヴ・ロイヤルズ、オリンピックスなどの黒いR&Bが好きでも、Mercury期のプラターズを好きになれる。
「黒ければいい」のではない。
黒人音楽のニュアンスを残しながら、メロディーと歌を美しく聴かせる。
それがプラターズの魅力なんだと思う。

ミッキー&シルヴィア

もう一組、最近改めて面白いと思ったのがミッキー&シルヴィアだ。
「Love Is Strange」を聴くと、アイク&ティナ・ターナーと同じ男女コンビということで並べたくなるが、音はかなり違う。
アイク&ティナ・ターナーがブルース、ゴスペル、R&Bの肉体的な方向へ進んでいくのに対して、ミッキー&シルヴィアにはもっと50年代的な都会の洒落っ気がある。
特にミッキー・ベイカーのギターがいい。
彼のギターを聴いていると、ナット・キング・コール・トリオのオスカー・ムーアを思い出す。
もちろん音楽的には同じものではないが、歌とリズムの中にギターを置き、コード感やフレーズで都会的な雰囲気を作るという意味では、どこか繋がって聴こえる。
ミッキー&シルヴィアはブルース臭さを前面に出すというより、ギターと男女のボーカルの会話で聴かせる。
ドゥーワップではないが当時のR&B/ジャズを考えると面白い存在だ。

「ドゥーワップ」という言葉だけでは足りない

こうして並べてみると、それぞれの個性がかなり違う。
クローヴァーズなら黒さ。
ドミノスなら肉体性。
ファイヴ・ロイヤルズならブルース。
ファイヴ・サテンズなら甘さ。
プラターズなら美しいメロディーと都会的な洗練。
ファイヴ・キーズなら、ブルースを残したままの洒落たハーモニー。
ミッキー&シルヴィアなら、都会的なR&Bとジャズ的なギター。
だから、50年代の黒人コーラス・グループを全部「ドゥーワップ」と一括りにしてしまうのは、少しもったいない。
もちろん、ドゥーワップは雰囲気だけでも十分に楽しめる。
実際、若い頃の自分もそうだった。
有名だから買う。ジャケットが格好いいから買う。そして、甘くて気持ちいい曲だけ聴く。
それでも十分楽しかった。
でも、何十年も経ってから同じレコードを聴くと、昔は聴こえていなかったものが聴こえてくる。
ファイヴ・キーズのコーラスの動きだったり、プラターズの初期と後期の違いだったり、ミッキー・ベイカーのギターだったり、グループ全体のアレンジだったり。
音楽の知識が増えたというより、自分の耳の焦点が変わったのだと思う。
昔は「気持ちいい」で終わっていたものが、今は「なぜ気持ちいいのか」まで少し分かるようになった。
それでも、最後に残るのはやっぱり「気持ちいい」なんですけどね。
レコードを長く聴いていると、同じ盤でも、歳を重ねるたびに違うところが聴こえてくる。
それが面白い。

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