GW明けも福岡県外から買取依頼
ゴールデンウィーク明けですが、出張買取が2件、大変ありがたい。
今日は福岡県を出て下関市まで行きます。
休み期間中は多くの来店者で賑わいました。
福岡帰省で県外からの方も多く、田中伊佐資さんのYouTubeで紹介された効果もありましたでしょうか。
遠く宮崎県からのお客様はジャズ・レコードを大量に購入しえ頂きました。
さて、今回はゴールデンウィーク最終日、リピートした山下達郎のアルバム『SOFTLY』の感想を書いてみました。
繰り返しに耐えうるポップ・アルバムの理由
山下達郎の『SOFTLY』を初めて聴いたとき、正直「地味なアルバムだな」という印象だった。
だが何度も繰り返し聴いているうちに、このアルバムに独特の質感があることに気づいた。聴くほどに離れられなくなる。ザ・バンドやペット・サウンズのように、表面の派手さではなく、音楽の構造と質感で勝負しているアルバムだ。
シティポップの達郎ではなく、土着の達郎
達郎のイメージといえば、あのカッティングギターと洗練されたシティポップ。「ライド・オン・タイム」「クリスマス・イブ」。明快なリズムと圧倒的なポップネス。近年はニューソウル風味のレアグルーヴとしても再評価されている。
だが『SOFTLY』は違う。
ファンキーなグルーヴは抑制され、ギターは粘っこい。重心が低い。歌い方も丁寧で、ロックというよりブルースマン、あるいはもっと古いR&Bシンガーのようだ。
これは退行ではない。むしろ剥ぎ取った結果、底にあるものが浮かび上がってきた。
ブルースが滲み出ている
達郎はかつてラジオでこんなことを言った。「ルーツ音楽をやっている人は羨ましい。ポップ屋は新しいものを常に取り上げなければいけない」と。
その言葉が『SOFTLY』では音になっている。
「OPPRESSION BLUES(抑圧のブルース)」というタイトルの曲が収録されているのも偶然ではない。ヤマザキマリによるライナーのギターとピアノのシンプルな絵も、そのコンセプトを静かに語っている。まるでブルースマンの力強い手や指を連想させるニュアンスがある。
そして「人力飛行機」。この曲にはニューオリンズ風味が漂っている。スライドギターとあの土着的なグルーヴ。そしてこの曲が終わったあと、次の曲への繋ぎに列車の音が入る。
次の曲はその名も「うたのきしゃ」。
列車の音はブルースの象徴だ。アメリカ南部のブルースマンたちが繰り返し歌ってきたモチーフ。自由と逃避と、どこか遠くへ行きたいという魂の叫び。達郎がそれを意識的に使ったのか無意識なのか、どちらにせよアルバムのコンセプトが音として刻まれている瞬間だ。
「REBORN」のギターソロを弾いているのは日下部”BURNY”正則。ハードロック畑のギタリストだが、あの粘っこいソロにはブルースの血が流れている。達郎の人選の妙だ。
50年分の耳
達郎がブルースを知らないはずがない。サンデー・ソングブックでの選曲を聴けばわかる。ドゥーワップ、R&B、ソウル、そしてブルース。あれだけの量を聴き込んできた人間の耳が、半世紀を経てアルバムに滲み出てきた。
意識的に出したのか、無意識なのか。どちらでもいい。50年分の蓄積というのは、そういうものだ。
なぜリピートに耐えられるのか
派手な曲がないからこそ、繰り返すほど深くなる。
最初の一聴では地味に感じる人もいるかもしれない。だが聴くたびに、声の質感、ギターの粘り、アレンジの隅々に仕込まれたものが見えてくる。これはブルースの中毒性と同じ構造だ。
そしてアルバムの最後を締めくくる「REBORN」。この曲での達郎の歌い方は、私が達郎を聴いてきた中で一番好きだ。力で押さない。抑えた声の中に、長いキャリアを経た人間だけが持てる深みと静けさがある。ブルースマンが晩年に到達する境地に近い何かを感じる。
表面を楽しむ音楽ではなく、底に降りていく音楽。
『SOFTLY』は、シティポップの文脈で語られるべきアルバムではない。ポップという方法論の奥底に、ずっと沈んでいたルーツ音楽がついに表面に出てきた一枚だ。
達郎も好きなエリック・クラプトン同様、揺るぎない黒人音楽の追求が、究極のポップ職人を生んだ。
ポップスターが半世紀かけて行き着いた、理想の地ではないか。
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